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徒然草気まま読み#40
「命長ければ、辱(はじ)多し」
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今回扱うのは、第七段。
全文を紹介すると…
あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙立ちさらでのみ住み果つる習ひならば、いかに、物の哀れもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。
命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕を待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。つくづくと一年(ひととせ)を暮らす程だにも、こよなうのどけしや。飽かず、惜しと思はば、千年(ちとせ)を過すとも、一夜の夢の心地こそせめ。住みはてぬ世に、醜きすがたを待ちえて、何かはせん。命長ければ辱(はじ)多し。長くとも四十(よそぢ)に足らぬほどにて死なんこそ、目安かるべけれ。
そのほど過ぎぬれば、かたちを恥づる心もなく、人に出(い)でまじらはん事を思ひ、夕(ゆふべ)の日に子孫を愛して、榮行(さかゆ)く末を見んまでの命をあらまし、ひたすら世を貪る心のみ深く、物のあはれも知らずなり行くなん、浅ましき。
徒然草の中でも特に美文で格調の高い段。
ただひたすら生きることのみに執着していたら、千年生きても足りないと思うだろう。
限りある命を受け入れることができるか?
永遠の命を手に入れるよりも、大切なこととは何か?
手塚治虫の『火の鳥』などのテーマに受け継がれていく、人生・生命に関する哲学。
さらには、日本人の感覚の底にある「永遠」の目指し方などについても語ります。